社会制度のこと

前エントリで気候についての彼我の違いについて書きました。 東京と比べると気候はとても良いです。 さて、今回は社会システムの違いです。

とは言っても、卑近なことでしかないですし、ひたすら「東京賛美」になってしまうのですが。

ごく雑なことを言うと、東京というのは社会システム的にはとても良いところです。

東京都の良いところ

ゴミ回収が無料

一番に挙げたいのは、ゴミの回収が基本的に無料であるということです。

もちろん粗大ゴミとか事業所ゴミとか課金のあるものはありますが、普通に生活している分にはゴミ処理にお金を払う必要はありません。

このことは、23区で生活している人達にとっては当たり前のことだと思います。 しかし、当地では一般ゴミ(燃えるものも燃えないものも)は有料の袋に入れないと回収してもらえません。 これは集合住宅でも同じです。

大田市だけがそうなわけではありません松江市もそうですし、調べてみるとむしろ「有料なのが普通」と言っても良いくらいです。 だいたいどこも決められた袋があって、回収料金はその袋の値段に入っています。当地だと(多分どこでもだと思いますが)スーパーでこの袋を買う必要があります。 「レジ袋」で出してもダメです。 東京にいる時は紙ゴミは紙袋(手提げのやつ)に入れて出していましたが、当地ではそれをやるとアウトです。

ゴミ関連でついでに言えば、当地ではだいたいゴミは集積場に持って行く必要があります。 つまり、ゴミの回収はその集積場に回収の車が来て回収して行くわけです。 そこに持って行かないと回収してもらえません。 当然ながら、家のすぐ近くにあるとも限りません。 東京だと家の前に出しておけばいいですし、マンションの人はマンションで適当にやってくれていると思うのですが、そういったことはこちらではありません。 まぁ集合住宅の人達はその集合住宅の敷地とか隣接地に集積場があったりするので、戸建の人よりは楽ですけど。

逆に粗大ゴミだと集積場に持って行けば良い的なものもあって、それは悪くはないですけど。 子どもの頃はそこでテレビやラジオが捨ててあるのを拾って修理したり部品にしたりしていたものです。

また当地は資源ゴミ系のゴミ(雑誌、新聞、アルミ缶等)は独自に回収ボックスがある地域もあったりします。 これは部分的には当地の方が便利と言えなくもないですね。 もっとも都心だと、そういったものは適当に夜外に捨てていると、「野生生物」が持って行ってくれたりするんですけど。

社会的なケアが充実している

子育て世代へのケアとか、高齢者へのケアといった「特殊な事情のある人へのケア」は、だいたいの自治体でやっていると思います。 もちろん程度の違いはあるにせよ、そういった特殊な事情のある人(=社会的弱者)へのケアは結構どこも頑張っています。

東京で凄いなと今さらになって気がついたのは、そういった社会的弱者以外の「一般市民」に対するケアが結構あるということです。

たとえば、東京都は「東京防災」という冊子を全戸配布しました。

配布するだけじゃなくて、リニューアルしたらまた配布してくれました。 東京は自然災害に弱い面もある(これはまた別の機会に書くかも知れません)という事情があるにせよ、これは素晴しいことです。 「そんなものもらっても…」という話はあるのでしょうけど(私もそう思ってました)、自治体の姿勢としてそのようなことをする方向性を持っているのは良いことだと思います。

東京都と言えば、「買い物キャッシュバック」も結構大きいですね。 そんなことするくらいなら税金減らせよ的な声はあるでしょうけど、東京の住民税率は十分安いですからね。

事業主経験者として言えば、区の融資補助制度とかもありがたかったですね。 審査とかあるにせよ、「区がOKと言ってくれる」というのは信用のバックボーンにはできますし。

そう言えば、区民対象の健康診断チケットもありました。 「(台東)区民対象」と書いてはみましたが、本当に「区民」なのか「国民保険加入者」なのかはよくわかりませんが、とにかくそんなものが区の方から来てました。

最近は無痛分娩の補助制度もできるようなので、やっぱり東京は充実しているなぁと思います。

そう言えば東京は町内の掲示板があちこちにありました。 町内会に入ってなかったり雑居ビルのペントハウス的なところに住んでいると回覧板的なものが来ないのですが、掲示板には必要な情報や広報紙にもないことが出ていたりと、結構便利でした。

こんな感じで「そう言えば」と延々といろんな制度が出て来るくらい、東京都には補助制度があるわけです。

社会的施設等が充実している

これは「そう感じる」だけなのかも知れないという気がしないでもないです。

なぜなら、「東京」とは結構狭いエリアにいろんなものが密集しているので、「犬も歩けば」状態でもあるからです。 特に台東区は狭い区なので区内の施設も近いですし、隣接区(うちからだと千代田区文京区中央区墨田区あたり)に行くのもすぐで、その辺の施設も目に入ります。 なので、「少なくとも主観的には充実している」と感じることが多いです。

下町と言うか元々の都心部特有の事情もあるのですが、いわゆる「区民センター」的なものが結構あります。 いわゆる「区民のための施設」が結構あるのですね。 うちの近所には「区民スポーツセンター」とかもありましたね。 そして、これらを借りるためのハードルは結構低いので、ちょっと仲間うちのイベントみたいなことでも、結構使えるものでした。 趣味のイベントとかオフ会的なものにも、しばしば使われていました。

これは都心部では少子化だけではなくてドーナツ化の影響で小中学校が統廃合されて、残った建物や敷地の用途としてそういったものが作られたという事情があるので、手放しに「東京素晴しい」と言うのはちょっと軽率ですが、「利用者」という視点で見れば素晴しいということに間違いはないでしょう。

台東区のインキュベーションである「台東デザイナーズビレッジ」もそういったものの一つ(元は区立小島小学校)ですね。

当地でも廃校になった施設を地域コミュニティーセンター的な「まちづくりセンター」として活用している例はあります。 東京の類似のそれよりはちょっと利用ハードルは高いようです。

社会的なものの地域差がほぼない

これは実例を挙げないとピンと来ないと思いますが、たとえば東京都の公立高校には学区制がありません。 つまり、都内どこに住んでいようと、都内のどこの公立高校に行けます。

東京で生まれ育った人達にしてみれば、「それが何か?」なんでしょうけど、学区制がありますと場所によっては「違う校区の学校の方が通学に便利なのに、校区の壁のせいで入学が困難(不可能)」みたいなものがあります。 松江だと「目の前の高校は別の校区」という謎地域が結構ありました。 最近、松江市内では校区制はなくなったようですが、松江市外から松江にある県立普通高校にはハードルがあります。

これはまぁあまりに自由にしてしまうと、公立高校どうしで序列ができてしまうという弊害があるのでそう簡単に変えられることでもないとは思いますが、「目の前の高校は別の校区」みたいなおかしなことは是正されるべきじゃないかと思います。

これは「公立高校」の話ですが、その他のいろんなことが東京都は結構フラットになっています。 たとえば、その区の住民でなくても勤務先がその区であれば、区民と同等のサービスが受けられる住民サービスとか結構あります。 区立図書館とか区民向けのイベントとか、その区に勤務先のある人であればOKです。 例外は「千代田区」ですけど、まぁあそこは… きっとケチなんでしょう。

どう考えるか

このように、東京は非常に恵まれた環境です。 しかも、それはとても安い住民税の下でです(東京都より安いのは愛知県だけ)。 これは無視することのできないことだと思います。

弊社はこの地で創業しましたし、色々な考えから

  • 大田は快適で良いところですよ
  • 思ってるほど田舎の不便さもないですよ
  • 就農と「古民家カフェ」だけがIターンじゃないですよ

というようなメッセージを出して来ました。今後もそうして行く予定です。

しかしそれであるがゆえに、ここに住みたい、ここで仕事をしたいという人達には、「ちゃんとした判断」で来て欲しいなと思ってます。

「東京はこんなに恵まれているんですよ」ということを、はっきり言っておきたいのです。 それだけ恵まれている土地を離れて当地に来る、そこには「ちゃんとした判断」が欲しいのです。 「夢の田舎暮し」を夢見るだけで判断しては欲しくないわけです。

東京は素晴しい環境です。 でも、冷静にこちらの環境を考えて比較したらもっと素晴しい。 そう思った人に来て欲しいなと思っています。 また、そういった人達のお手伝いができたらなとも思います。

と同時に企業誘致等を考えている自治体には、こういったことも地味に効くんだってことを理解して欲しいなと思います。

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