代官山動物園
おごちゃん
「Orcinus」のリリースに合わせて、コアアプリケーションのHieronymus Ver 2.0をリリースします。
今回からはリポジトリは(現)弊社のものとなっています。 以前のリポジトリは今後更新されません。 前のリポジトリは結構スターがついててもったいない気もするのですが、会社も新しくなりましたので、新しいリポジトリです。
今までHiernymusは純粋な「会計システム」でしたが、今回からは会計以外の機能も持っています。
特徴
Hieronymusは財務会計のシステムをベースにした、(現在のところ)中小企業以下をターゲットとしたERPシステムです。
全てがオープンソース(Affero GPL)で提供されます。
他のオープンソース業務システムにあるような「有償の機能」は存在しません。 つまり、追加の費用を払うことで得られる機能は存在しません。 弊社からのリリースは全て追加費用なしで提供されます。 弊社からの有償サービスは全体的なサポートとその環境です。
会計機能
会計機能はいわゆる財務会計です。 伝票入力から決算書の出力まで可能です。
メニューレベルでの機能で言えば、「振替伝票」を入力することで、
- 仕訳日記帳
- 元帳
- 残高試算表
- 決算書
が得られます。 この他に科目毎の時系列グラフを表示する「推移表」という機能もあります。
また、「電子化証憑」に完全対応しています。 証憑を電子化したものを保存するだけではなく、それを元に伝票作成するというフローを用意しています。
クラウドサービスの会計システムとの大きな違いは、Hieronymusは「振替伝票」をベースとしていることです。 これはどっちがどうと言う優劣ではありませんが、振替伝票で会計を覚えた人達にとっては、この方がしっくり来るでしょう。
ただし、Hieronymusには現在のところ税務申告に直接的に必要な機能はありません。 あくまでも財務諸表が出せるだけです。 税務申告については、税理士等とご相談下さい。 と言いますか、顧問税理士はつけましょう。
消費税に関しては、将来の改訂を考慮して税率は任意に設定可能です。 また、その税率の有効期限を設定するようになっているので、期の途中で税率が変更されても大丈夫です。 仮に明日から消費税が0になっても、
1分以内に対応可能
です。一年かかるようなことはありません。
顧客管理及び見積請求
今回は「顧客管理」を視野に入れた機能を追加しました。
現在は、
- 顧客管理
- 見積/請求
- 会議や接待の記録
といったものを記録することができます。
当然ながら、請求を「計上」すると、会計システムの「証憑管理」に請求書が記録されます。 つまり、請求処理は会計と連動しています。
顧客管理は「顧客」に限らず、購買先等も含めて管理しています。
顧客とのやりとりは全て記録可能になっています。 見積請求といった金銭や契約絡みのことの他に、議事録や接待の記録をつけることもできます。 また、記録する文書の種類も任意に追加することができます。
電子媒体を受領した時にそれを保管する機能もあります。
役職員管理
現在のところ、ごく軽く役職員管理がつけてあります。 人事給与を組み込む予定なので投入する情報は多いのですが、実際に使っているのは「名前」だけです。 現在は顧客対応の「担当者」の名前を入れる以外の機能はありません。
将来の方向
現在の仕様はERPとしての初期段階に過ぎませんし、そもそもERPをしたいと言うよりは「オールインワンのバックオフィスシステム」が欲しいわけなので、そういった機能強化をしたいと考えています。
台帳
まず追加する機能としては、顧客管理の「記録文書」をより充実させ、さらに「台帳」として扱う機能を追加します。
これは元々今回の仕様強化の話が来たのが士業関係だったのですが、士業ではしばしばクライアントとのやりとりを各種台帳に記録して行く必要があるということからです。
たとえば資料や文書の貸借とか、役所とのやりとりとかを台帳管理する必要があるそうなのですが、システム開発としてはそこに深入りしたくはありません。 そこで、ノーコードで台帳を作るための機能を用意して、それを使うようにしてもらおうという考えです。
台帳は士業には「ありがちのもの」があるそうで、そういったものを流通させる仕組みを用意できたら良いなと考えています。
実はここはある程度までは作ってあるのですが、今回のリリースには間に合わせられなかったので外してあります。 次のメジャーバージョンアップの時には使えるようにする予定です。
名刺管理
営業活動は名刺交換から始まります。 そこで、顧客管理の第一歩として名刺管理が必要です。
また、「人」には異動がつきものですから、それを上手く追跡することで、営業活動の足しにすることができます。
そういったことも考えて、「顧客管理」と連動した「名刺管理」機能を用意しようと準備しています。
物品在庫管理と購買
見積請求のあたりの処理のために、「商品」を登録する機能は既にあります。 この商品の在庫を管理する機能を付加しようと考えています。 これは弊社内での要求です。
それだけではなくて、備品や消耗品の在庫も管理したいと考えています。 部品とかいつの間にか在庫がなくなったりとかしますし、次に購入する時にはどこからどれくらい買うか検討して購入を決めたいとか、そういったことを可能にしようという考えです。 これは弊社と言うか私の要求ですね。 部品だったらシステム上で購入とかできればなお良いですね。
どれにしても、会計とリンクして動くべきですね。
人事給与
給与関係の処理は結構厄介なもので、仮に報酬が固定であっても
- 控除の定期的な改訂
- 年齢によっての控除の変化
- 所得者に変化による控除の変化
などがあります。 毎年、4〜6月あたりで結構面倒臭い思いをしたり間違えたりしています。
また、給与を支給したという伝票は、いつもだいたい同じでありながらチマチマと違ったりして、これもまた間違う元だったりします。
給与の計算そのものについては、様々な計算があるものなので、そこに深入りしたいとは思いませんが、「控除」についてはちゃんとした方が間違いがなくて楽だなと思います。
また、「深入りしない」とは言え、時間給の人がいたりするともうちょっと何とかしたいなと思います。
例によって税金に関しては税理士に任せるという前提に立つにしても、月々の処理は何とかしておきたいところです。
有償サービスのメニューについて
これはあらためて別エントリで書きますが、前述のようにHieronymusに関しては「有償機能」は用意しません。 つまり、制限されたオープンソース版は存在しません。 全ての機能が<無償で公開されます。
ただし、別途費用をいただくことで、
- 個別対応的な機能強化
- 別ライセンスでの提供
- 特別なサポート
を行う用意はありますので、お問い合わせください。
ただし、これは「特別な対応」であって、標準の有償サービスはシステム販売といわゆるサポートです。
これらについてはOrcinusとして提供します。
まとめ
今回、Orcinus構想のコンポーネントとして、バックオフィスシステムの初期段階の新しいHieronymusが公開できました。 これを第一歩として、改良し続けたいと思います。
Dockerでも動かせるようになっているので、使ってみたい人は気軽に試せると思います。 また、CassetteOS上であればワンクリックでインストール可能です… という話は次のエントリにて。